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コラム2023/11/16
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2030年問題とは?不動産業界が直面する課題への対応策を解説

2030年問題とは?不動産業界が直面する課題への対応策を解説

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

2023年現在、日本では少子高齢化や人口減少が深刻な問題となっています。人口が減っていくことによる労働力の減少はさまざまな業界にネガティブな影響を与えるとして、「2030年問題」として取りまとめられました。

今回は、不動産業界にも大きな影響がある2030年問題について、その概要と対応方法を解説します。今後に向けて課題感を整理したいとお考えの方は、ぜひお役立てください。


「2030年問題」とは

「2030年問題」とは、日本が2030年頃に直面すると予想される一連の社会的・経済的課題を総称する言葉です。この問題の背景には、以下のような要因があります。

  • 高齢化社会の進行
  • 労働力人口の減少
  • 社会保障制度の持続性の懸念
  • 地域社会の衰退


この問題の軸には大幅な高齢化が挙げられ、歴史上経験したことのないような人口減少が、今後も継続していくと予想されています。

 

内閣府「令和4年版高齢社会白書  」

引用:内閣府「令和4年版高齢社会白書 

結局のところ、何が問題になるのかというと「子供が生まれない」人口が減っていくという点にあります。

特に、2022年は「悲観的だ」とまでいわれていた出生予想数を大幅に下回ってしまったため、今後の人口減少の進行度合いについては、よりネガティブな見立てが求められると予想されます。


国土交通省「『国土の長期展望』中間とりまとめ 概要(平成23年2月21日国土審議会政策部会長期展望委員会)」

引用:国土交通省「『国土の長期展望』中間とりまとめ 概要(平成23年2月21日国土審議会政策部会長期展望委員会)

特に、労働人口が減少し、働ける人々が減ってしまうと、「労働力の奪い合い」も発生します。このピークが2030年であるため、現在はあらゆる業界で既存の商習慣や業務体制について、大幅なシフトが求められているのです。


不動産業界における2030年問題の影響

不動産業界は、実はかなり高齢の方の割合が多い業界でもあります。実際に、総務省の資料を参照すると、不動産業界の年代比率は、他の業界に比べて60代以上の割合が大きいとわかります。

総務省「労働力調査」

引用:総務省「労働力調査

一方で20~30代の労働力比率が低く年々微減傾向にあるため、労働力不足のインパクトが大きいと予測されています。不動産業界は、他業界と比べても、特徴的な人材の年齢構成比なのです。

これをどう捉えるかといえば「年齢が上がっても活躍できる業界」「逆に、長くやって積み上げてきたものがあってこそ活躍できる業界」と、二面的な考え方ができるでしょう。

これについては、今後若い世代の人材を獲得していくにあたって、「どのように求職者に訴求していくか」を議論する必要があります。

不動産業界も直面する「売上機会の逸失」

人口減少により、人材が不足すると発生するのが「売上機会の逸失」です。労働力不足は事業運営・労働環境の悪循環を生み出し、経営危機のきっかけになりかねません。

まず、現状の従業員数を前提とした業務のあり方は維持できなくなり、1人当たりの業務負担が増大。業務の進捗の遅れや質の低下、離職などが起こり得るでしょう。

単純な頭数の減少ではなく、教育リソースが確保できず人材不足の連鎖が起きるということです。結局のところ「働ける人」を育てるためには最短で数ヶ月が必要ですが、この数ヶ月の間、教えるのは従業員になります。

従業員が不足するということは、この「育成のためのリソース」も減るということです。育成ができなければ、ただでさえ採用できないにもかかわらず、人が育たなければさらに減っていくという、負の連鎖が発生してしまいます。

そこからさらに「人材獲得競争の激化・人件費の高騰」「顧客満足の低下」「業績悪化」などにも繋がるでしょう。

こういった形で業界全体が衰退していくのを食い止めるためにも、早め早めに歯止めをかけていかなければなりません。


国土交通省「不動産業ビジョン2030」とは

2030年問題の深刻さを受けて、国土交通省は不動産業界向けの提言である「不動産業ビジョン2030」を策定しています。「不動産業ビジョン2030」では、不動産業界において、今後10年間で対応すべき問題について言及されています。 

例えば、不動産業界のあるべき姿について「豊かな住生活を支える産業」「我が国の持続的成長を支える産業」「人々の交流の『場』を支える産業」と位置付けた上で、以下の7項目が掲げられています。

引用:国土交通省「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~(概要)

次世代における不動産業の発展を確保することを目的に策定されました。2023年現在は発表からすでに4年経過していますが、ビジョンで示されていた課題の解消度合いについては、まだまだ道半ばなのではないでしょうか。


2030年問題に向けて不動産業界に求められる対応

では、2030年に向けて、不動産会社ではどのように対応していけばよいのでしょうか。重要度の高いものとしては、以下の3つが考えられるでしょう。

  • ①:取引後半の定型業務のスリム化
  • ②:若手人材の確保と定着化させる環境作り
  • ③:データを基盤とした経営へのシフト


以下より、それぞれ個別に解説します。

①:取引後半の定型業務のスリム化

不動産業界は「書類のスキャン」「データの入力・転記・集計」「受発注や社内決済に係るプロセス」など、定型業務が多いのが現状です。

2030年問題を踏まえると、今後はこういった提携業務を、より高付加価値な業務に変えていく必要があるでしょう。例を挙げると、以下のようなもの。

  • 専門性を求められる業務(例:物件調査、重要事項説明)
  • お客様に対するアドバイザリー業務
  • 事業計画立案、商品・サービスの企画開発 


「集客・追客」領域は現状でも比較的デジタル化・自動化されているものの、「営業・案内」のようなエンドユーザーからの信頼に繋がる、一番時間を費やしたい業務はまだデジタルシフトが浸透し切っていません。

しかし、営業・案内の領域は、宅建業法やガイドラインを遵守したプロセスと、協会などにより提供されるフォーマットを利用すれば、策定後に変更を迫られる可能性が低い分野。つまり、営業・案内の領域を効率化した場合、その恩恵を長期的に享受可能なのです。

特に、2020年代は50余年ぶりの宅建業法の改正が実施されましたので、不動産会社にとっては大きなチャンスといえるのではないでしょうか。

とはいえ、営業・案内領域は手続きの度に発生する単純作業が多く、「接客履歴入力」「本人確認」「書類作成」「契約締結」など、高付加価値な業務と単純作業が結合してしまっているのが現状です。

「ただ自動化ツールなどで業務を効率化しよう」としても、根本部分の変革には繋がらないため、業務プロセス全体を包括して再定義することが重要です。

例えば、東急不動産ホールディングスはデジタルを活用した、事業体制全体の再構築に積極的に取り組んでおり、「2022 DXレポート」資料を参照すると業務の電子化・オンライン化を着実に推し進め、革新的な働き方を実践していると報告されています。


東急不動産HD「2022 DXレポート」

引用:東急不動産HD「2022 DXレポート

このように、既存の事業プロセスを効率化し、生産性を向上させることでより創造的な取り組みに自社リソースを活用していけるでしょう。

②:若手人材の確保と定着化させる環境作り

今後、不動産業界では若手人材の採用戦略も見直していかなければならないでしょう。

2023年は、学生から人気の職種は営業職です。株式会社マイナが公開している情報を参照すると、文系の男子学生は長い間営業職がトップの人気で、最近は女学生からの希望割合が増えてきているとわかります。

マイナビ「2023年卒大学生就職意識調査」

引用:マイナビ「2023年卒大学生就職意識調査

一方で、不動産業に関しては、決して人気とはいえないのが現状。同じくマイナビが学生に対して行ったイメージ調査では、「社会貢献」「人の役に立つ」といったポジティブなイメージがあるものの、「働き方」に関してはマイナスなイメージ割合が多かったとのことです。


マイナビ「2023年卒大学生業界イメージ調査<業界別>」《不動産業界》4.業界に対するイメージ」

参考:マイナビ「2023年卒大学生業界イメージ調査<業界別>」《不動産業界》4.業界に対するイメージ」を基に、当社にて作成。

こういったイメージを変えていくためにも、時代に応じた合理的な働き方を追求していく重要性は高いでしょう。現状は電話や対面を主体としたアナログな営業手法や過酷な労働環境、早期離職のイメージが定着しています。

しかし、将来的にはデジタルネイティブ世代に合わせた業務ツールの導入による「営業の負担軽減」「データ活用」などを促進​​していく必要があります。

③:データを基盤とした経営へのシフト

人手不足に対応していく上では、データを基盤とした経営体制へのシフトも大切です。

不動産業界におけるデータを基盤とした経営とは、経営判断や戦略策定を進める際に、膨大なデータや情報を活用して、より精緻な分析や予測を実施。より効果的な経営活動を実践することを指します。

このようなデジタルシフトには、大きく3つの意義があります。

  • ①:人材不足に対応した顧客獲得手法の確立
  • ②:時代に即した能力獲得への期待感醸成
  • ③:人材や組織高度化のきっかけ・基盤


まず、①の「人材不足に対応した顧客獲得手法の確立」についていえば、データを利用することで、エンドユーザーのニーズや行動パターンを分析し、よりパーソナライズされた営業活動を実施するということです。これにより、少ない人材でより多くのリードや顧客を獲得できます。

データドリブンな経営は、従業員にデータ解析やデジタルツールの操作などの新たなスキルの習得が必要ですので、必然的に②の「時代に即した能力獲得への期待感醸成」にも繋がります。

さらに、データを活用する文化を組織内に醸成することで、意思決定の精度が上がり、③の「人材や組織高度化のきっかけ・基盤」を構築可能。自社全体の能力の向上を後押しすることでしょう。


2030年問題に向けたGOGEN株式会社のアプローチ

不動産事業者さまの課題に対し、業務だけでなく、エンドユーザーへの理解も含めたサービス提供と、事業企画や業務に関する変革支援を提供しています。

売買手続きにおける体験価値向上に繋がる「レリーズ電子契約」「レリーズ本人確認」。ChatGPTの技術を活用した「Chat管理人」や、住宅購入の手付金が0円になる「ゼロテ」など、不動産取引全体を包括したソリューションを開発しています。


GOGEN株式会社の取り組み


さらには、不動産会社における「DX検討・推進支援」「業務変革支援」「ソフトウェア
導入支援」などのコンサルティングサービスも提供。

2023年8月には一般社団法人不動産テック協会が主催するAI活用推進部会に参画し、当社代表の和田がイベントに登壇。業界内におけるAI活用における議論を積極的に行っています。

このように多面的なアプローチを行っているのは、前述したように不動産業界でデジタルシフトを果たすためには、包括的な業務プロセスの見直しが必要であるためです。

もちろん、抜本的な変革にかかる労力は多大なるものですが、来たる2030年問題を見据えると、喫緊の課題といえるのではないでしょうか。


まとめ

2030年問題で挙げられている人口減少を皮切りとする諸問題は、もはや避けようのないものです。不動産業界としても、今後の労働力減少に備え、業務プロセス全体を変革していく必要に迫られているでしょう。

しかし、各手続きごとにスポットでツールやシステムを導入しただけでは、根本的な効率化は果たせません。不動産業のような一連の業務が連動しているビジネス形態では、業務プロセス全体を包括的に見直すことが大切です。

当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズ・シリーズ」を提供しています。

レリーズは不動産取引実務の効率化やコストカットが可能なサービス群です。DX推進による顧客体験価値や満足度の向上を図りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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