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生成AI(ジェネレーティブAI)とは?不動産会社で活用するメリットをわかりやすく解説
こんにちは。「レリーズ」編集部です。
2023年は、生成AIに関する話題がホットトピックとなり、さまざま業界における利活用に関する議論が加速しました。不動産業界でも、不動産DXの文脈に則り、生成AIを有効活用するための取り組みが推進されつつあります。
そこで今回は、生成AIの概要と不動産業界における利活用の可能性について論功します。アナログ業務に変革を起こしたいとお考えの方は、ぜひお役立てください。
生成AI(ジェネレーティブAI)とは?
「生成AI(ジェネレーティブAI)」とは、機械学習のサブセットとして位置づけられる技術で、学習したデータを基にして、新しいオリジナルのデータやコンテンツを生成するAIを指します。
2020年代は、このジェネレーティブAIが世界中で大きな注目を受けています。テキストの生成に特化した「ChatGPT」や、革新的な画像生成AI「DALL·E 2(ダリ・ツー)」など、さまざまなタイプの生成AIがビジネスシーンや、私たちの日常に取り入れられてきているのです。
生成AIの仕組み
ジェネレーティブAIが新しいコンテンツを作成する際、基盤となるのは大量の学習データです。このAIの背後にある主要な技術は「ディープラーニング(深層学習)」という技術で、この手法によって提供されるデータから独自の解答や内容を導き出します。
この技術進化により、さらに高度で独創的なコンテンツの生成が可能になりました。従来の機械学習は主に「教師あり学習」という手法を採用しており、人間がAIに明確な答えを指示し、それに基づいてAIが「予測」を行うスタイルでした。
しかし、ディープラーニングの導入で、AIは独自に学習を進め、既存の学習データに依存しないオリジナルのコンテンツを生成する能力を持つようになっています。
これにより何が変わったのかというと、「自然言語処理」という「会話の理解が可能になった」点が代表的。従来は複雑な指示は処理しきれなかったAIが、会話のコンテクストを理解して、アウトプットを生成できるようになったのです。
単なる「AI」の違い
「単なるAI」と「生成AI」の主な違いは、「オリジナルコンテンツの生成能力」にあります。従来型のなAIは、既存の知識から最適な回答を選択する特性がありましたが、ジェネレーティブAIは、未知の情報やデータをもとに「0から1を生む」特性を持ち合わせています。
言い換えれば、ジェネレーティブAIは「AIが創り出した新しい知識を人間に提供するシステム」といえます。これまで、完全に新しいコンテンツを生成するのは人間の専売特許でしたが、生成AIの出現により、創造的なアイデアの生成や、高度な創造作業もAIが担う時代が到来。
その結果、多くの企業組織が、自社事業や日常業務のなかで生成AIの力を活用しています。
生成AIができることの例
生成AIができることの例としては、以下のものが代表的です。
- テキスト生成
- 画像生成
- 動画生成
- 音声生成
- データ抽出
次項より、個別にみていきましょう。
テキスト生成
テキスト生成AIは、指示となる「プロンプト」というキーワードや文章を基に、関連したテキストを自動生成する技術です。代表例としてはOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Bard」が挙げられます。
この技術の活用は幅広く、記事の要約、キャッチフレーズの提案、さらにはプログラムコードの自動生成など、多岐にわたります。
画像生成
画像生成AIは、テキスト情報を入力することで、該当する内容に基づくオリジナルの画像を数秒から数十秒で生成します。
引用:OpenAI
デザインやアートの領域では、この技術の支援や新しいアイデアの創出が非常に期待されています。ユーザーは簡単なテキスト入力だけで、さまざまな画像を得るられるのが特徴です。
動画生成
動画生成AIは、画像生成の進化版とも言える技術で、特定のテキストを基に動画コンテンツを生成するものです。例えば「Stable Diffusion」の開発者が提供する「Gen-1」は、元の動画を完全に新しい形に変えることができます。
2024年2月には、米OpenAIの動画生成AI「Sora」が発表され、テキストから生成された「雪に覆われた東京の街」をはじめとする各種動画が、大きく話題になりました。
引用:WIRED「高精細な動画を生み出すOpenAIの新ツール『Sora』は、生成AIを新たな次元へと押し上げる」
その驚異的なクオリティから賛否含めさまざまな意見があり、今最も注目されている生成AIともいえます。
音声生成
音声生成AIは、特定の音声データを学習し、その特性に基づく新しい音声を生成する技術です。数秒のサンプルさえあれば、人の声の特徴を精密に捉え、それを再現することが可能。
さらに、学習後はその声でのテキスト読み上げや、感情を込めた音声生成も実現できますので、オリジナルのナレーションなどのコンテンツ制作に役立ちます。
データ抽出
生成AIは、膨大なデータ群から必要なものをピックアップするのにも役立ちます。株式会社ブレインパッドでは、ジェネレーティブAIやLLMに基づく研究が進められており、特にChatGPT APIを中心とした開発が数多く行われています。
具体的な例として、社内データからの情報抽出をサポートするSlack BotやWebアプリケーションが開発されました。大量のデータの中から必要な情報を即座に見つけ出すことが、この技術の最大の特徴といえます。
不動産会社で生成AIを活用するメリット
では、不動産会社で生成AIを活用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的には、以下のようなものが考えられます。
- メリット①:業務効率化
- メリット②:コスト削減
- メリット③:顧客満足度の向上
それぞれについて、個別に解説します。
メリット①:業務効率化
生成AIを導入することで、従来人手に依存していた業務を高速かつ高精度で実施できます。この結果、サービス品質が均一化し、顧客への提供レベルが向上。評価や査定などの複雑な業務においてもAIのサポートを受蹴られます。
AIの特性として、継続的な業務を疲れることなく、一定の質で提供することが可能な点にあります。さらに、業務効率化により、働きやすい環境の整備や、労働環境の改善が期待され、企業全体の経営効率や離職率の低下も実現できるでしょう。
メリット②:コスト削減
生成AIを活用することで、新人の研修期間や人材の研修コストを削減できます。AIの力を借りることで、経験の浅いスタッフでも一定のクオリティを維持した業務が可能。
自社スタッフはより価値の高い業務、例えば顧客対応に集中できます。
メリット③:顧客満足度の向上
業務効率化は顧客対応の質を向上させるため、顧客満足度の上昇につながります。デジタルツールを駆使して、顧客の詳細な情報やニーズを把握し、パーソナライズされた提案を行えるでしょう。
AIを活用した業務自動化により、スタッフが顧客とのコミュニケーションにより多くの時間を費やせるようにもなります。
これによって、より深いリレーションシップを築き、顧客満足度の向上とともに、良好な口コミや評価を獲得できる可能性が高まるのです。
代表的な生成AIサービス4選
ここからは、不動産会社でも役立つ代表的な生成AIサービスを4つ紹介します。
- ChatGPT
- DALL・E 2
- Synthesia
- Voicevox
各サービスの特徴について、個別に解説します。
ChatGPT
引用:ChatGPT
2023年上半期のバズワードとなった米OpenAIのChatGPTは、高度なAI技術を持ち“まるで人間のような自然な会話”が可能なAIチャットサービスです。
事前に膨大なデータを学習させることで、人間と遜色ないコミュニケーションができるようになったものがChatGPTでの特徴。Web上にある情報を大量に学習し、データをもとにAIが入力者の意図や文脈を解釈してアウトプットを行う仕組みです。
例えば、不動産業界では「エンドユーザー向けの新着物件ご紹介メール・LINE文章の作成」「お問合せチャット」「稟議書作成」「営業ロープレの課題抽出」といった活用が可能でしょう。
実際に当社もChatGPTの技術を活用した未来型管理チャットサービス「Chat管理人」を提供しており、入居者からの質問や困りごとに対して「自動回答」を行えます。
不動産業界におけるChatGPTの活用方法については、下記の記事で詳しく紹介しています。こちらも合わせてご参照ください。
関連記事:不動産業界でも注目のChatGPTとは?業務効率化に繋がる使用手順を徹底解説!
DALL・E 2
引用:DALL·E 2
DALL·E 2は、任意のテキスト(プロンプト)を入力して生成したい画像のイメージを指示すると、イメージに近い画像を自動的に生成してくれるOpenAIの画像生成AIです。
DALL·E 2 は、画像生成AIの中でも、クリエイティブな画像を出力できる点が特徴。例えば、「馬に乗った宇宙飛行士」といったテキストを入力すると、その内容に沿った画像を自動生成してくれます。
引用:DALL·E 2
Synthesia
引用:Synthesia
「Synthesia」は、125以上のAIアバターと120以上の言語で動画作成が可能なプラットフォームです。テキストを入力するだけで、自動的にアバターがその内容を話す動画を生成してくれるシステムで、以下のような特徴があります。
- 自動ビデオ生成
- カスタマイズ性の高さ
- 多言語対応
- 高品質なアニメーション
不動産業界でも、「エンドユーザー向けのプロモーション」「社内用教育コンテンツ」などの活用ができるでしょう。多言語対応であることから、海外ユーザー向けのコンテンツも作成可能です。
Voicevox
引用:Meta
「Voicevox」は、Facebookを運営するMeta社が2023年6月に発表した音声生成AIで、音声とその文字起こしのデータからの学習で構築されています。入力したテキストを出力したい音声で読み上げることが可能で、ノイズの消去や音声の補完、言い間違いの修正などにも対応しているとのこと。
テキスト生成AIと組み合わせて、作成した文字ベースのコンテンツを読み上げてもらうことで、手軽に音声コンテンツを作成できます。
不動産会社が生成AIを活用する際の注意点
不動産会社で生成AIを活用する際には、以下の点に留意しましょう。
- アウトプットの真偽性
- 著作権侵害
- 情報漏洩などのセキュリティ問題
それぞれ、個別に解説します。
アウトプットの真偽性
生成AIによる情報出力は、必ずしも最新や正確ではない可能性があるため、使用する前に情報の検証が不可欠です。特に、ChatGPTの無料版のように、一定時期までの情報しか学習していない場合、新しいデータの反映ができません。
このような点を理解して、情報の精度や適切性を確認することで、信頼性の低下を回避できます。
著作権侵害
生成AI、特に画像や音声生成においては、既存の作品を無意識に模倣するリスクが考えられます。例として、特定のイラストレーターの作風を多数学習させた場合、そのイラストレーターの特有のスタイルに似たアウトプットが可能になる可能性があります。
このような場合、著作権の侵害や風評被害を招く恐れがあるため、使用する際は十分な配慮が求められるのです。
情報漏洩などのセキュリティ問題
生成AIを使用する際、入力データの取り扱いに注意が必要です。特に、ChatGPTなどのテキスト生成AIに重要な情報や個人情報を入力する際、その情報が記録され、他のユーザーの出力に混入するリスクが考えられます。
このようなリスクを避けるため、「どのような情報をAIに入力するか」「そのAIが情報をどのように取り扱うか」を明確に理解しておく必要があります。
不動産業界における生成AIの活用例
2023年現在、不動産業界においても生成AIの活用事例が存在します。代表的なものを挙げると以下のとおり。
- LIFULL HOME’sのChatGPTを活用した「住まい探し支援AIチャット」
- GMO ReTech株式会社が提供する「入居者向けAI翻訳」
- 米Matterportが発表した「モデルルーム画像の自動生成システム」
それぞれについて、個別にみていきましょう。
LIFULL HOME’sのChatGPTを活用した「住まい探し支援AIチャット」
引用:LIFULL HOME’s「LIFULL HOME'S、『ChatGPT』の技術を活用し不動産業界で初めて住宅弱者の住まい探し支援に特化したAIチャット『接客サポートAI by FRIENDLY DOOR(BETA版)』を提供」
LIFULL HOME’sは、2023年8月よりChatGPTを活用した住宅弱者の住まい探し支援に特化したAIチャット「接客サポートAI by FRIENDLY DOOR(BETA版)」をリリースしています。
同社は元々、住まい探しに困難を抱えるエンドユーザーに対して、親身になって住まい探しの相談に応じる不動産会社を検索できるサービス「FRIENDLY DOOR」を提供してきました。
今回の接客サポートAIは、従来は不動産会社のスタッフが多くの時間をかけて学ばなければならなかった「住宅弱者の方に関する基礎知識」「接客に必要な専門性の高いノウハウ」を、AIがサポートする形で補助するシステムです。
例えば、不動産会社のスタッフが疑問に感じることがあった際、対話形式でシステムに質問することで、その場で回答を得られます。これにより、入居希望者とよりスムーズなコミュニケーションが可能になると見込まれています。
GMO ReTech株式会社が提供する「入居者向けAI翻訳」
引用:GMO ReTech株式会社「『GMO賃貸DX』において『AI翻訳機能』を提供開始〜約100の言語に対応し、オーナー様や入居者様とのやり取りがよりスムーズに〜」
不動産領域におけるDX支援を実施するGMO ReTech株式会社は、2023年8月31日に、賃貸管理会社向けプラットフォーム「GMO賃貸DX」のAI返信アシスタント(β版)において、約100の言語に対応した「AI翻訳機能」を実装しました。
この機能を利用することで、不動産管理会社は外国人オーナー・入居者様からの問い合わせに対してより迅速な対応が可能になります。
当社提供のChat管理人や、LIFULL HOME’sの接客サポートAIとは兼ね合いになる部分もありますが、賃貸領域における業務負担は確実に削減されるでしょう。
米Matterportが発表した「モデルルーム画像の自動生成システム」
引用:Matterport「Matterport Announces Genesis: A Generative AI Initiative to Transform How Buildings are Designed, Built, and Managed」
米Matterportは、デジタルツインプラットフォームに生成AIを組み込む新たなイニシアティブ「Genesis」を2023年6月に発表しました。
Genesisは、さまざまな革新技術と生成AIを組み合わせ、「正確な寸法の3D空間から、インテリアを取り除く」「新たにデザインしたものを表示する」といった活用が可能。新しいデザインコンセプト、運用時のレイアウトなど、空間利用の要件も、物件ごとの条件に応じて柔軟にカスタマイズできます。
Genesisの主なユースケースとしては、以下のとおり。
- インテリアデザインと空間利用のシミュレーション
- 設計と建設の効率化
- 建物のエネルギー消費を削減
- 保守・修理に関する情報提供
- 建物のセキュリティに関する情報提供
こういったシステムにより建築領域でもDXが進めば、不動産領域での売買件数や賃貸活用がより活性化すると考えられます。
関連記事:【2023年版】アメリカの不動産テック市場に関する調査と論考|注目の企業はどこ?
今後、生成AIで不動産業界はどう変わっていく?
ChatGPTの登場、続いて数多くの生成系AIが世に現れ、IT業界のみならず一般人にも盛り上がりをみせています。
入居後の問い合わせ対応やトラブルシューティングなど、一定レベルのマニュアル化された受け答え、書類作成など、生成AIで代替できる仕事は数多いでしょう。
とはいえ、全てが自動化されるわけではありません。AIには得意な業務と不得意な業務が存在するので、それぞれの特性を見極めながら、最適な業務にAIを活用して不動産業務を効率化させる必要があります。
まとめ
生成AIは従来型のAIと異なり、入力された言葉を理解し、会話の文脈から求められていることを判断した上でアウトプットを作成するテクノロジーです。テキストや画像、動画など、さまざまなコンテンツを生成することが可能であり、ビジネス領域での活用可能性も膨大なバリエーションがあります。
不動産業界でも、生成AIを有効活用していくことで、業務負担の軽減やエンドユーザーに対する付加価値の向上に繋げられます。とはいえ、まだまだアナログ文化が根付いている業界でもありますので、利活用の方向性については、これから議論が深まっていくことでしょう。
当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズプラットフォーム」を提供しています。
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