COLUMNお役立ち情報

コラム2023/11/20
Twitterシェアボタン
Facebookシェアボタン

不動産業界でもデータ活用はするべき?DX推進につながるサービスや活用事例も紹介

不動産業界でもデータ活用はするべき?DX推進につながるサービスや活用事例も紹介

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

2020年代を迎え、不動産業界でもデジタル化の機運がますます高まっており、不動産DX(デジタル・トランスフォーメーション)に向けた取り組みも増加しています。そんなデジタルを使った業務改革の根幹となるのが「データ活用」です。

今回は、不動産ビジネスにおけるデータ活用の基礎知識を解説します。自社で新たな取り組みに繋げたいとお考えの方は、ぜひお役立てください。


そもそも「データ活用」とは?

まず、不動産ビジネス文脈での「データ活用」についてですが、以下のように定義できるでしょう。

「自社や他社が保有するデータをもとにビジネスの方向性を決定し、収益の向上などの自社の課題を解決する手段とすること」

2020年代はますます業界を取り巻く外部環境の変化が激しくなっており、長年の経験や勘によってビジネスの方向性を見極めることは難しくなっています。

そのため、さまざまなデータを収集・分析することで、根拠にもとづいた施策に繋げる重要性が増しているといえるでしょう。

ここでいうデータとは、つまりは「ビッグデータ」を指します。ビッグデータは「スマートフォンやIoT関連機器、インターネット経由で得られる膨大なデータ」のことであり、総務省の資料を参照すると以下のように大別されています。


ビッグデータの定義

出典:総務省「ビッグデータの定義及び範囲」を基に、GOGEN株式会社作成。

不動産ビジネスで活用する際にも、基本的にはこのビッグデータを対象としたシステム導入・体制構築が求められます。


データ活用が不動産DXにつながる理由

2023年現在は、業界内でも徐々に「不動産DX(デジタル・トランスフォーメーション)」がトレンドワードになりつつあります。

不動産DXとは「テクノロジーの力で企業の事業活動をより良くすること」であり、データ活用はまさにこの不動産DXの根幹でもあります。

データ活用が不動産DXで有益な理由として、代表的なものは以下のとおり。

  • 顧客ニーズの可視化による「営業活動の効率化」を図れるため
  • 「不動産価格の査定」による精度の高い提案に繋がるから
  • 投資用不動産の価値予測ができる
  • 顧客体験の変革に繋がるから


次項より、個別にみていきましょう。

顧客ニーズの可視化による「営業活動の効率化」を図れるため

まず第一に、自社サイト経由などで収集されるパーソナルな顧客データは、不動産営業の効率化に役立てられます。

WebサイトやSNS、メルマガ、Web広告などの閲覧状況や行動をビッグデータとして蓄積・分析することで、以下のような情報をリアルタイムで把握できます。

<営業の効率化に繋がるデータの例>

  • 閲覧した物件情報
  • メール開封後の行動
  • 自社サイトに訪れているユーザー情報

など

このような情報を基に「顧客の潜在的なニーズを把握する」「メールや架電での適切なアプローチタイミングを見極める」ことが可能。

顧客のニーズや検討段階に合わせて営業アプローチを行えば、成約につながる可能性を高められるでしょう。

「不動産価格の査定」による精度の高い提案に繋がるから

不動産業界では「不動産価格の査定」にもビッグデータが活用されています。

不動産売買・賃貸の仲介では、「物件の売却価格・販売価格・賃料の査定」が必要。しかし、実際は立地や築年数、周辺環境など多数の情報を考慮しなければならず、専門的な知識・ノウハウが求められるのが現状です。

ビッグデータを用いることで、類似物件や取引実績などの情報を踏まえて、迅速に不動産査定を行えるようになります。

精度の高い価格査定を行う上では、株式会社コラビットが提供する「AI査定プロ」などのテックサービス活用も有効です。

データ活用で役立つ不動産テックツール「AI査定プロ」

引用:AI査定プロ

AI査定プロは、不動産ビジネス実務の視点から設計された不動産査定書ツールで、「 最短45秒」で書類は完成。大量査定にも完全対応で、成約事例を登録・販売図面の収録ができ、面倒な地域や時点などの補正率をAIが計算してくれます。

投資用不動産の価値予測ができる

投資用不動産の価値を予測する際にも、ビッグデータが活用されます。不動産投資では、“どれほどの収益になるのか”という点が重要ですが、物件に関するさまざまな情報を収集・比較するには膨大な時間がかかることが懸念点。

そこで、AIにビッグデータを学習させることで、売上を生み出す価値の高い不動産情報を顧客に提供できます。

投資家に対し迅速に情報を提供できるだけでなく、担当者の業務負担軽減にも繋がるでしょう。

その際、リーウェイズ株式会社の「Gate(投資向け)」などの、テック系サービスも併用するのが効果的です。


データ活用で役立つ不動産テックツール「Gate(投資向け)」

引用:Gate(投資向け)

Gateは、2億件の不動産ビッグデータを用いて「賃料」「利回り」「空室率」「価格」などの不動産情報を50年先まで高精度に査定するシステム。使用により、物件査定の精度をさらにアップできるでしょう。

顧客体験の変革に繋がるから

データ活用の体制を構築すれば、顧客体験の向上にも繋げられます。特に、現在アナログな作業が多い「契約締結」以降の手続きをデジタル化することが有効です。

なぜなら、契約情報を起点に、顧客情報、購入物件情報などのデータ蓄積ができ、「契約データを住宅ローンや決済、保険などの関連手続きとも連携させる」「手続きの簡略化はもちろん、より濃厚な情報データとしてストックする」といったことが可能であるためです。

こういった社内に蓄積されていくデータを使えば、引渡し後もエンドユーザーと継続した関係を構築でき、契約データや住宅ローン履歴をもにした提案に繋げることが可能。

エンドユーザー側にとっては、リフォームや住み替え、売却相談ができる相手がいることで、再度イチから不動産会社を探す手間がなくなります。

人口減少による反響数減少、集客コストの高騰に悩む事業者側にとっては、従来の「売って終わり」のビジネスモデルから、引渡し後も「継続的な関係」を持ち続ける新たなビジネスモデルにシフトすることで、見込み顧客の担保や付帯収益による売上増加に繋がるでしょう。


不動産会社がデータ活用を実現するまでの必要ステップ

不動産会社のデータ活用実現までの流れは、大きく以下の3ステップに分けられます。

  • STEP1.収集するデータの定義
  • STEP2.データの収集・整形
  • STEP3.データの管理・分析


以下より、それぞれ個別にみていきましょう。

STEP1.収集するデータの定義

まずは「ビッグデータをどのように活用するのか」という目的を定めた上で、取得するデータの定義化が必要です。

目的を定めずにデータを収集すると、不要なデータが蓄積されるほか、分析途中で方向性を見失い、正しい分析を行えない可能性があるため。

収集すべきデータ1つとっても、以下のような「定量データ」「定性データ」に分けられます。


【定量データ】

  • ポータルサイト・自社サイト上でユーザーがとった行動情報やお気に入り履歴
  • フォームから入力される居住地や職業情報
  • 不動産データサービスの活用履歴
  • 顧客アンケートの回答内容(選択式)
  • 売却・購入時の最終価格
  • 契約時の顧客情報


【定性データ】

  • 自社に寄せられた要望やクレーム内容
  • SNSや検索エンジン、口コミサイトでの投稿内容
  • 顧客アンケート(自由回答式)


「営業ノウハウを分析して組織のスキル向上を図るのか」「顧客情報を分析してアプローチ精度を高めたいのか」など、分析の目的を定めることで、自社で収集するべきデータを明確化しましょう。

STEP2.データの収集・整形

データの定義が終われば、分析に必要なデータを収集しましょう。データ収集方法はさまざまなものが存在します。

そのため、「いかに効率よく必要なデータを収集できるかどうか」も、データ活用を成功させるポイントの1つです。

さらに、データ分析前にデータ整形を行わなければ、正確な分析結果を得られないため、以下のとおりデータ整形を行いましょう。

  1. 精査…現在使えないメールアドレスなど、使えないデータがないか検証する。
  2. 統合…データの重複がないか確認し、重複が存在する場合はデータを統合し、新しいデータが追加されるごとに、データの重複がないか確認する。
  3. 標準化…電話番号や性別などの情報を記載するフォーマットについて、標準化を行う。
  4. 更新…時間の経過で古くなったデータは、最新のデータに更新する。


STEP3.データの管理・分析

収集したデータを活用していく上では、自社で一元的に管理しなければなりません。

なぜなら、各社の規模感によって異なるものの、日々自社には膨大なデータが蓄積されていくものの、これらが「社内に散在している状態」では、正確なニーズの可視化は望めないためです。

収集データが社内に散らばってしまっていると、次のような事態も引き起こしかねません。

継続的にデータを蓄積・管理をすることで、自社の業務効率化や新たな戦略策定に役立つ「データ運用」が実現するでしょう。


不動産業界におけるデータ活用の事例

ここからは、不動産業界でも参考になるデータ活用に事例について紹介します。

「三井不動産」が取り組むデータドリブン・マーケティング 

三井不動産グループは、かねてより積極的なDX施策に取り組んでいます。データ活用のために「事業部門(ビジネス人材)」「DX本部(デジタル人材)」の共創を図り、DX推進体制を構築しているのが特徴。


「三井不動産」が取り組むデータドリブン・マーケティング 

引用:三井不動産株式会社「DX白書2022

DX本部が得たナレッジ(知見)はグループ内企業に横展開することで、グループ全体のマーケティング力強化に繋げています。

さらに、三井不動産はテック系ベンチャーとの共創も積極的に行っています。例えば、顧客分析やデジタルマーケティング施策を推進するためのプラットフォームとしてトレジャーデータ株式会社の「Treasure Data CDP」を導入し、データ活用に活かしています。

具体的には、以下のようなデータをTreasure Data CDPで統合管理した上で「可視化したデータを、Tableauを通じて顧客理解に活用する」という使い方をしているとのことです。

  • 会員に紐づくデータ…会員情報や利用企業情報、従業員の利用実績、アンケートの回答など。
  • Web上の行動履歴データ…広告接触履歴、Webのアクセスログ、問い合わせなど。


トレジャーデータ株式会社の「Treasure Data CDP」を使ったデータ活用

引用:TECH+「三井不動産が『ワークスタイリング』で取組むデータドリブンマーケティング

これにより、Treasure Data CDPに蓄積されたデータを分析して施設ごとの利用状況を定量的かつリアルタイムに把握。仮説検証を行い、サービスの品質向上施策、利用促進施策、新規拠点開設の検討などに活かしているとされています。

「積水ハウス」が取り組むユーザー軸のデータ活用  

積水ハウスでは、ユーザーを中⼼に考えるカスタマーセントリック思考のもと「CRM戦略」を⽴案・推進しています。

これは、ユーザーから大事な情報や営業活動の状況を「人ベース」で安全に蓄積・活⽤できるデータ基盤を整備。現場の営業活動やアフターサービスに適宜連動させ、一貫性のある良質な顧客体験や価値を提供するという取り組みです。

これにより、ユーザーのロイヤリティ向上のみならず、グループ全体での顧客接点や営業機会の創出に繋がることを期待されています。

さらに、データ基盤の整備によって、データ分析に基づいた経営・営業環境が構築されれば、従業員一人ひとりの価値創造⼒のさらなる向上に繋がるでしょう。


データ活用は「付加価値向上の手段」である

以上のとおり、データ活用は不動産ビジネスにおいては非常に有用な手段です。ただし、「データ活用自体」が目的にならないように注意する必要があります。

なぜなら「営業の効率の上昇」「顧客ニーズの提案」も、その先にあるのはエンドユーザーや取引先への付加価値向上による売上の最大化に他ならないためです。

さらに、「不動産会社のデータ活用」といっても、その実現までには以下のように事業規模に応じて課題感が異なります。


データ活用における大手不動産会社・中小不動産会社の課題感の違い


以上を踏まえると、データ活用自体が意義深い施策であることに間違いはないものの、前提として「自社でデータ活用の結果として、どのような付加価値向上につながるのか」「自社においてはどのように進めていくべきか」を見失わないようにするのが大切といえるでしょう。


まとめ

不動産業界におけるデータ活用は、テクノロジーの発展とともに、より効率的かつ戦略的に行えるようになっています。不動産情報や顧客ニーズなどについて、大量のデータから得られるインサイトによって、より正確かつ迅速に把握できるようになりました。

データ活用によって、不動産会社は投資判断やマーケティング戦略をより効果的に策定できるでしょう。

当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズプラットフォーム」を提供しています。

レリーズは不動産取引実務の効率化やコストカットが可能なサービスです。DX推進による顧客体験価値や満足度の向上を図りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

「レリーズプラットフォームの資料請求(無料)」はこちら

  • 電子契約をまずは安く使い始めて最大限の成果を求めたい方
  • セキュリティを守りながら使いやすい製品を探している方

低価格はもちろん様々な現場ニーズに合わせたカスタマイズ機能も提供可能です。
まずは詳細はお問い合わせください。