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コラム2023/12/06
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電子帳簿保存法とは?2024年1月からの電子保存義務化に対応するための必要知識

電子帳簿保存法とは?2024年1月からの電子保存義務化に対応するための必要知識

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

不動産取引で「電子契約導入」「顧客情報のデジタル化」などのDXを果たせば、大幅なコストカットや実務上の負担を大幅に削減できます。一方で、売買契約関連の書類(以下:契約関連書類)を電子化した上で管理・運用するためには、2024年以降は義務化される電子帳簿保存法の内容を踏まえておく必要があります。

そこで本稿では、電子帳簿保存法の概要や、自社でデジタルシフトを図る際の対応策について解説しますので、ぜひお役立てください。


電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは1998年に制定された法律です。これにより、一定の要件を満たすことにより、紙の状態で保管しなければならなかった書類について、電子データでの保存・管理が可能になりました

電子帳簿保存法の制定時に電子化が可能になった書類は「税務書類」「契約書」「請求書」「見積もり書」などです。

電子帳簿保存法が制定された後も、宅建業法により、不動産取引関係の書類は長らく電子が認められない状態でした。

しかし、2022年5月にデジタル改革関連法の一環で宅建業法が改正されたことにより、不動産取引関係の以下の書類を電化した上での取引も可能になっています

電子帳簿保存法で取り扱える書類


これにより、現在は不動産取引実務での電子契約の導入も可能になりました。

電子帳簿保存法の対象者

電子帳簿保存法は「法人税の納税義務がある一般法人」「非営利法人など所得税を納める個人事業主」に適用

企業の規模や法人、個人事業主の区別に関わらず、事実上全ての事業主がこの法律の対象です。電子帳簿保存法の改正は、全ての法人と個人の事業主に影響を与える重要な変更です。

特に、新たに義務付けられた電子取引の電子データ保存に関しては、全ての事業者が2023年12月31日の猶予期間終了以降は、対応策を設定し、実施することが求められます。


改正後の電子帳簿保存法で押さえておくべきポイント 

改正後の電子帳簿保存法で把握しておくべきポイントとしては、下記のものが挙げられます。

  • ポイント①:タイムスタンプ要件が緩和された
  • ポイント②:電子取引における「書面保存」が廃止された
  • ポイント③:検索要件が緩和された
  • ポイント④:事前承認制度がなくなった
  • ポイント⑤:適正事務処理要件が廃止された


次項より、個別にみていきましょう。

ポイント①:タイムスタンプ要件が緩和された

タイムスタンプは、電子データの存在と改ざんされていないことを証明する機能です。以前は国税関係書類のスキャナ保存に際して受領者の署名と3営業日以内のタイムスタンプが必要でしたが、改正によりタイムスタンプの期間が約2か月に延長され、署名も不要になりました。

さらに、修正や削除の履歴が残る、または不可能なシステムで保存する場合、タイムスタンプも必要亡くなっています。

ポイント②:電子取引における「書面保存」が廃止された

以前は電子取引データの保存に書面出力も認められていましたが、2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法では紙での保存が禁止され、電子データ保存が義務付けられました。

ただし、2023年12月末までの宥恕期間中は、特定条件下で書面保存が許可されますので、しっかりと把握しておきましょう。

ポイント③:検索要件が緩和された

以前は取引年月日、勘定科目、取引金額など複数項目の検索要件が必要でしたが、改正により取引年月日、取引金額、取引先のみに縮小されました。

税務職員が電磁的記録のダウンロードを求める場合、範囲指定と項目の組み合わせ機能は不要となっています。

ポイント④:事前承認制度がなくなった

以前は、帳簿や証票書類を電子的に保存する際、保存時期の3ヶ月前までに税務署へ書類を提出する必要がありました。しかし、2022年1月の法改正でこの事前承認制度が廃止され、電子帳簿保存への移行がより簡単かつ効率的になっています。

ポイント⑤:適正事務処理要件が廃止された

改正前、国税関係書類のスキャナ保存には、不正防止のため複数人での事務処理、定期的な検査、スキャンデータと紙の照合、検査完了までの原本保管が求められていました。

改正により、これらの要件が廃止され、スキャナ保存の手続きが容易になったといえるでしょう。


電子帳簿保存法に対応したデジタルシフトのメリット

不動産会社でも、電子帳簿保存法を踏まえつつ、契約関連書類を電子データで管理すれば、以下のような恩恵を得られます。

  • 書類のファイリングやデータ化の手間がなくなる
  • 書類管理のためのスペースや負担が軽減される
  • 書類検索が容易になる


次項より、個別に解説します。

書類のファイリングやデータ化の手間がなくなる

不動産会社で管理する契約関連書類は膨大な量となるため、その管理には時間と手間がかかります。しかし、そういった書類をはじめから電子データで保存するようにすれば、紙の書類をファイリングしたり、画像としてスキャニングしたりする必要はなくなります。

書類管理のためのスペースや負担が軽減される

押印された契約書や重要事項説明書といった契約関連書類は、一定期間保管する必要があり、従来は書類保管のキャビネットや倉庫が求められていました。しかし、電子契約ならクラウドで契約関連書類を管理できますので、省スペース化にもつながります。

書類検索が容易になる

契約関連書類を電子化したうえで、データベース化すれば書類検索が容易になります。自社で扱うすべての契約書を、一元管理できますので、担当者以外でも容易に書類へのアクセスが可能です。

電子帳簿保存法に即した管理体制を築けば、自ずと書類管理のセキュリティレベルも向上します。


2024年の義務化後の電子帳簿保存法への対応策 

自社でデジタルシフトを図っていく場合、電子帳簿保存法への対応は必須といえます。その上で求められる対応策としては、以下のものが挙げられるでしょう。

  • データの保存方法を決めておく
  • データの保存場所を確定させる
  • 業務フローを再定義する


それぞれ、具体的に解説します。

データの保存方法を決めておく

電子帳簿の保存方法は3種類あり、それぞれ以下のとおりです。

  • 電子帳簿等保存…会計ソフトなどで作成した電子書類を、データでそのまま保存する方法
  • スキャナ保存…紙媒体で受領、あるいは作成した書類を画像データで保存する方法
  • 電子取引…電子メールなどで受け取った取引情報をデータで保存する方法


さらに、国土交通省によって、電子書類を保存する際に満たしておくべき要件が定められています。要件のポイントをまとめると、以下のようになります。

表1.電子データの保存要件

電子帳簿保存法の要件

(参考:国税庁「電子帳簿保存時の要件」を基にレリーズ作成


電子書類を保存するにあたって、上記要件が網羅されていなければ国税法や会社法の違反となる可能性がありますので、留意が必要です。

データの保存場所を確定させる

電子データは、内容がいつでも参照や印刷可能な状態で整理されていなければなりません。全ての部署が異なる場所や方法でデータを保管しないよう、保管場所を明確に定義しましょう。

加えて、データ損失のリスクを回避するために、バックアップシステムの確立も必須です。

業務フローを再定義する

電子データの保存に関する要件を満たすためには、業務プロセスの再検討が求められます。データ保存の手法にのみ焦点を当て、承認プロセスや業務フローのデジタル化が遅れると、電子帳簿保存法の改正に適応することが困難になる可能性があります。

電子帳簿保存に関連する社内規則を策定し、それを適切に運用することが大切です。

なお、不動産会社がデジタルシフトを図る際に求められる業務フローの再定義については、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらもあわせて、ご参照ください。

関連記事:不動産DXで業務フローはどのくらい改善する?デジタルシフト成功のための勘所


不動産取引での電子帳簿保存法に関する注意点

不動産取引実務で、電子帳簿保存法を踏まえた電子契約の導入を行う際には、以下のの各ケースにおいて、異なる要素を踏まえておかなければなりません。

  • 電子契約で用いた書類を電子帳簿等保存する場合
  • 電子化した紙の書類をスキャナ保存する場合


以下より、個別にみていきましょう。

電子契約で用いた書類を電子帳簿等保存する場合

不動産売買の契約手続きで電子契約を導入すれば、「①:電子化した契約関連書類をエンドユーザーに送付→②:オンラインでIT重説を行う→③:本人確認が可能な電子署名で署名を行う」との流れで取引が進行します。

電子帳簿保存法では、③で作成された署名後の電子契約書は、そのまま電子データで保管しなければならないと規定されており、以下の3点について留意が必要です。

  • 電子契約システムにタイムスタンプ機能はあるか
  • 契約承諾までの期間
  • データの保存環境


契約書類の非改ざん性や信頼性を担保するためには、タイムスタンプ機能が不可欠となります。自社で電子契約システムを導入するなら、タイムスタンプ機能つきのものにしましょう。

さらに、エンドユーザーの署名が行われるまでは「契約承諾とはみなされない」「事故や不具合でデータが消えてしまう」などのリスクを避ける必要がある点も踏まえておく必要があります。

電子化した紙の書類をスキャナ保存する場合

不動産取引を従来通り紙の書類で契約を行い、それらをスキャナ保存の方法で管理する場合は下記の3点がチェック事項です。

  • タイムスタンプを付与する方法
  • 社内の運用体制の構築
  • 重要書類のカラースキャン


紙の書類をスキャナ保存する場合においても、タイムスタンプの付与が問題になります。これについては、もとからデータ保存時刻を確認でき、変更や訂正の履歴が残るスキャニングシステムを用いれば解決します。

電子帳簿保存法では、データ受け取りから「7営業日+最長2ヶ月以内」に事務処理を完了させるよう規定されています。そのため、社内で紙の書類をスキャニングしたり、管理したりするための体制構築も必要。

加えて、電子帳簿保存法では重要書類のスキャンは基本的にはカラースキャンと規定されている点にも留意しましょう。


義務化後の電子帳簿保存法にも対応した「レリーズプラットフォーム」の電子契約

不動産売買特化型の電子契約が搭載された「レリーズプラットフォーム」


レリーズプラットフォーム」は、不動産取引専用の電子契約を利用できるサービスです。一般的な電子契約システムの機能を備えつつ、不動産取引の実務に特化した使いやすさを追及しているのが特徴。

レリーズは、日本で最初に不動産専門の電子契約サービスを提供したことで知られ、その特徴がメディアでも注目されたサービスです。

改正後の電子帳簿保存法にも完全対応しており、​案件・物件ごとに紐づいた管理で今と変わらない管理フローを実現します。



「レリーズ電子契約」の電子帳簿保存法への対応


まとめ

電子帳簿保存法では電子化した書類の管理方法について、さまざまな要件が定められています。

しかし、不動産会社において紙で管理していた契約関連書類を電子化すれば、さまざまな恩恵があるため、電子帳簿保存法に対応した電子書類の運用・管理体制を構築する意義は大きいといえます。

不動産売買に特化した「レリーズプラットフォーム」は、不動産取引における対面での契約をそのまま「デジタルに置き換えるだけ」で電子契約を導入できます。義務化後の電子帳簿保存法にも対応していますので、下記より、ぜひお問い合わせください。


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