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不動産取引で電子契約を導入する際に社内規定の見直しが必要な理由
こんにちは。「レリーズ」編集部です。
デジタル改革関連法で宅建業法が改正されたことにより、不動産売買領域においても電子契約が解禁されました。電子契約を不動産取引実務で採用すれば、不動産会社にとってさまざまな恩恵があります。
一方で、電子契約を運用するためには、改正後の各種法令に則りつつ社内規定を見直さなければなりません。
今回の記事では、電子契約導入にあたってどのようにして社内規定を策定し直せばいいのかについて論考しますので、ぜひお役立てください。
なぜ電子契約導入で社内規定の見直しが必要なのか?
電子契約の導入にかかる社内規定のポイントについてみていく前提として、そもそもとして「なぜ電子契約の導入で社内規定の見直しが必要なのか」について整理しましょう。
電子契約とは
電子契約とは、電子化した書類で重要事項の説明や契約手続きを行う取引方法です。不動産売買領域においては、宅建業法により契約関連書類を電子化できない状態でした。
しかし、前述したデジタル改革関連法で宅建業法などが改正されたことにより、電子契約が解禁されています。
従来は紙の書類で行っていた不動産取引実務を、電子契約に置き換えて行えば、「印紙代などのカットによるコスト削減」「取引スピードのアップ」などの恩恵を得られます。
電子契約を導入すれば社内規定の見直しが必要な理由
以上のとおり、電子契約の運用には多くのメリットがあります。一方で、電子契約は紙の契約とは遵守するべき法律が異なり、取引フローも大幅に変わります。そのため、不動産取引に電子契約を導入するなら、同時に社内規定も見直さなければなりません。
電子契約運用のための社内規定で踏まえておくべき法律
電子契約を運用するにあたり、社内規定の見直しを行う際に踏まえておくべき法律の代表例としては、以下のとおりです。
- 電子帳簿保存法
- 宅建業法
- 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)
次項より、個別に解説します。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法は、電子取引の定義を「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」と定めた上で、電子取引で用いる書類の様式や保存方法などを規定している法律です。
たとえば、電子帳簿保存法では所得税や法人税といった国税関係書類の場合、「紙の書類と同様に7年間の保存が必要」「電磁的記録にはタイムスタンプを付し、保存期間がわかるようにすること」などと定められています。
不動産売買領域における電子帳簿保存法については、下記の記事でより詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:電子帳簿保存法とは?2024年1月からの電子保存義務化に対応するための必要知識
宅建業法
デジタル改革関連法では、宅建業法の内容も改正されました。それに伴い、国土交通省は「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を作成し、公開しています。
このマニュアルでは、不動産取引で電子契約を導入する際に踏まえておくべき事柄が解説されています。不動産会社で、電子契約に即した社内規定の見直しを行う際にも、大いに参考になる内容ですので、積極的に参照しましょう。
電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)
電子署名法は、電子契約書の本人確認で必要になる電子署名について定めた法律です。電子契約で不動産売買を行う際には、売買契約書や重要事項説明書などに電子署名を使用します。
電子署名法第3条では、電子署名の効力が規定され、電子契約書を取り交わす電子取引の有効性が認められています。
電子契約で見直しが必要な社内規定の例
電子契約を導入するにあたって、社内規定のすべてを見直さなければならないという訳ではありません。改訂が必要なのは「電子契約 × 不動産取引実務」に関する項目のみであり、具体例としては以下のようなものがあります。
- 文書管理規程
- 印章管理規程
- 契約雛形の修正
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
文書管理規程
紙の契約をベースにした社内規定の場合、文書管理に関する取り決めが規程が、紙の契約書向けになっている可能性があります。
電子契約を導入すれば、“電子データ化された文書”を管理しなければならないため、社内規定に以下のようなルールの追加が必要です。
- 電子契約書の保管・期限に関するルール
- 電子契約書の廃棄方法に関するルール
- 電子契約書へのアクセス権に関するルール
印章管理規程
電子契約では契約締結に電子署名とタイムスタンプを使用するため、印章管理規程についても修正が求められます。
この際に、追加が必要なルールとしては以下のとおりです。
- 電子署名を管理する担当者決めのルール
- 電子署名を行う権限の委任に関するルール
- 電子署名の承認ルール
- 電子署名の担当者が実務において守るべきルール
契約雛形の修正
電子契約を運用していくうえでは、売買契約書の雛形で使われている文言を修正しなければならないケースがあります。その場合、主に手を加える必要がある用語は以下のとおりです。
- 書面
- 押印
- 記名
上記の用語は、基本的に電子契約では用いません。そのため、電子的記録であることを踏まえた表現に適宜修正する必要があります。
電子契約運用に関する社内規程作成のポイント
以上のような社内規定の見直しを行う際には、あらかじめ以下のポイントを押さえておけば、よりスムーズにいきます。
- 社内規定の作成で定義化するべき要件
- クラウドサーバーの管理体制
- 商業登記電子署名の秘密鍵などの管理方法
それぞれについて、詳しく解説します。
社内規定の作成で定義化するべき要件
電子契約に対応した形に社内規定を修正する際には、電子署名や電子証明書について、以下の事柄を自社であらかじめ定義化しておく必要があります。
- 目的と定義(総則)
- 電子署名の制定・改廃の手続
- 利用する電子署名の種類
- 電子証明書の制定や保存、管理の方法
- 電子署名の管理責任者(管理代行者)
- 電子署名の管理方法や管理責任
上記のうち、電子署名の管理方法や管理責任に関する規定は、押印が施された紙の書類とは異なり、管理対象が“電子データ”である点に留意が必要です。
たとえば、押印と電子署名とでは、以下のように管理方法が異なります。
- 押印…印章を金庫に保管したうえで、金庫の鍵を管理する
- 電子署名…ファイルを開くための秘密鍵をサーバ上などで保管し、二要素認証によって管理する
ここで言う二要素認証とは、「本人所有の情報(パスワード、ひみつの質問など)」「本人が持っている物(クレジットカードやスマートフォン)」「生体認証(指紋認証や顔認証など)」の中から異なる2つを本人確認に用いる方法です。
クラウドサーバーの管理体制
電子契約システムの多くはクラウド型となっています。クラウド型のサービスでは、電子署名の秘密鍵はベンダー側がサーバー上で管理します。
一方で、自社の側でも管理関係についてまとめた表を作成し、以下の項目をまとめておくと、その後も電子契約の運用もスムーズに進みます。
- 電子署名ごとの秘密鍵の管理責任者(自社側)
- 管理代行者(ベンダー側)
商業登記電子署名の秘密鍵などの管理方法
商業登記電子署名とは、法務省の電子認証局が認める電子署名で、取得すれば不動産会社における法人代表者であるとの証明になります。
電子署名法施行規則6条8項でも、認定認証業務に関する誤認防止についての規程があり、民間のベンダーが提供する電子契約サービスでは、法人代表者としての資格証明はできません。
そのため、商業登記電子署名を作成するなら、署名やデータファイルを開くために必要な秘密鍵などの管理方法についても、社内規定で独立した項目を設ける必要があります。
不動産売買特化の「レリーズプラットフォーム」ならシンプルな電子契約運用が可能
「レリーズプラットフォーム」は、不動産売買特化型の電子契約を利用できるシステムであり、日本で初めて不動産電子契約を提供した電子契約サービスとしてメディアで取り上げられた実績もあります。
不動産取引実務に焦点をあて、国土交通省のマニュアルにも対応したシステム設計。それに加え、クラウドサイン・SMBCクラウドサインと連携したセキュリティ強度により、電子契約運用のための社内規定の見直しもスムーズに行えます。
承認者お一人あたり「16,000円/月(クラウドサイン利用料込み)」と、業界最安値の値段で導入可能な点もあわさり、大手の不動産会社様からも好評をいただいています。
まとめ
電子契約を不動産取引で導入する際には、紙の契約から電子契約に以降するための社内規定の見直しが必要です。その場合、デジタル改革関連法で改正された各法律の内容を踏まえつつ、要点を絞った規定内容の作成が求められるでしょう。
当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズプラットフォーム」を提供しています。
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