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国土交通省の「インフラDX施策」は不動産会社にどう影響する?
こんにちは。「レリーズ」編集部です。
現在、国土交通省は次世代の社会基盤構築につながる施策の1つである「インフラDX」を推し進めています。デジタルテクノロジーを活用したインフラ整備を図るこの施策は、不動産業界にとっても関わりのあるものでしょう。
そこで今回は、国土交通省のインフラDX施策が不動産業界にもたらす影響を解説します。2019年に公開された「不動産ビジョン2030」も交えて、今後10年にわたって不動産業界に求められるアクションについても論考しますので、ぜひ参考にしてください。
国土交通省のインフラDX施策とは?
国土交通省では、新型コロナウイルスを機に会議のオンライン化や地方移住が進むなど業務形態・働き方が大きく変わっていることを踏まえ、「インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を進めています(※1)。
2020年7月に「インフラ分野のDX 推進本部」が設置。2023年2月現在、インフラDX推進本部会議は、全6回開催されています。
DXの定義は「進化し続けるテクノロジーで、人々の生活を豊かにすること」であり、インフラ分野でデジタル技術の有効活用が実現すれば、より国民生活が簡便なものになるでしょう。
インフラDX施策では、新型コロナウイルスのパンデミックを契機とした「非接触・リモート型の働き方への転換」「抜本的な生産性や安全性向上」を図るため、5Gをはじめとする最新テクノロジーの活用が図られています。
インフラ領域のデジタル化を進め、2023年度までには小規模なものを除く全ての公共工事についてBIM/CIM活用への転換を実現することが見込まれていますので、今年度は特に注目度が高いといえるでしょう。
引用:国土交通省「インフラ分野のDX施策」
国土交通省のインフラDX施策は何が不動産業界に影響するのか?
ここからは、実際に不動産業界にも影響し得る国土交通省のインフラDX施策の内容についてみていきましょう。不動産業界が注目すべき施策としては、以下のとおりです。
- まちづくりDX
- 国土交通データプラットフォーム
- 建設業のDX
次項より、それぞれについて具体的に解説します。
3D都市モデルを活用した「まちづくりDX」
インフラDXの一環として、都市計画・まちづくりの分野に「3D都市モデル(PLATEAU/プラトー)」を取り入れることで、「まちづくりDX」実現が図られています。
「スマートシティ」をはじめとした、まちづくりをより効率的なものにさせるため、させるため、その基盤となる3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化が推進中。具体的な施策内容としては、以下のとおりです。
- データ標準仕様の策定
- 官民の多様な分野におけるユースケースの開発
- オープンデータ化促進
- 地方自治体における3D都市モデルの整備・活用支援
など
引用:国土交通省「インフラ分野のDX施策」
ユースケースとしては、災害リスクをより視覚的にわかりやすく発信するため、土地利用情報をかけあわせて地図上に3D表示する取り組みがあげられます。
引用:国土交通省「インフラ分野のDX施策」
このように、各地域のリスクがわかりやすくなれば、不動産会社の事業内容にも大いに活かせるでしょう。
エリアデータの収集が容易になる「国土交通データプラットフォーム」の構築
従来は、各エリアにおける以下のようなデータは個別に管理されていたことから、情報収集が煩雑という課題がありました。
- インフラ
- 地質
- 気象
- 工事
- 人流のデータ
しかし、2020年4月2日に公開された「国土交通データプラットフォーム」では、国や地方自治体の保有するトンネル・ダムなどのインフラ・点検結果のデータ約8 万件に加え、全国の地盤データ約14 万件を一括で表示できるようになっています。
引用:国土交通省「主な施策の進捗」
国土交通省のデータプラットフォームでは、3次元データなどのほか、官民が保有する技術・デジタルデータと連携し、さまざまなデータの一括表示や検索が可能になります。
これにより、データを活用した研究開発や技術開発の促進が見込まれていますので、不動産会社にとっても、より使い勝手のいい「不動産データプラットフォーム」「テック系ツール」が登場するかもしれません。
新築物件のコスト低下に繋がり得る「建設業のDX」
国土交通省のインフラDX施策では、建設現場の「働き方改革」としてロボットやAIなどを活用し、現場における作業支援や代替を行うことで建設現場の効率化も目指されています。
引用:国土交通省「インフラ分野のDX施策」
機械・機器の導入により、建設業界におけるコストカットが実現されれば、新築物件のコストが下がる可能性があるかもしれません。長期目線では、不動産取引の活性化につながり得る取り組みだといえるでしょう。
国土交通省「不動産ビジョン2030」における提言
インフラDXをあわせて理解しておきたいのが、2019年におよそ四半世紀ぶりにとりまとめられたことでも話題になった「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」の内容です。
不動産ビジョン2030では、政府は不動産業界のさらなる成長・発展に期待していることがわかり、実際に以下のように述べられています。
“不動産業は、我が国の豊かな国民生活、経済成長等を支える重要な基幹産業であり、人口減少、AI・IoT等の進展など社会経済情勢の急速な変化が見込まれる次の10年においても、引き続き、成長産業としての発展が期待される”
引用:国土交通省「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」
さらに、不動産ビジョン2030では、今後は官民一体となった取り組みの推進が不可欠とのこと。そのなかでも「民の役割」としては、以下のものが期待されています。
- 他業種連携によるトータルサービス提供
- AI、IoT等新技術の有効活用
- 業界の魅力度向上による人材確保
- 法令遵守・コンプライアンス徹底による信頼産業としての地位確立
上記のうち、印象的なのは「AI、IoT等新技術の有効活用」なのではないでしょうか。つまりこれは“不動産業界側”からも、デジタル技術の活用を推し進めるよう、提言されていると捉えられます。
これから不動産DXは加速していく
国土交通省の施策内容に関わらず、実際問題として不動産業界においても労働力不足などが問題になっています。
今後は、従来型の@営業マンの能力やネットワークに基づく販売」「人力に頼る仲介や賃貸管理」などに代表されるような労働集約的な業務スタイルは、見直しが余儀なくなっていくでしょう。
さらに、不動産価格の査定サービスの普及に代表されるように、エンドユーザーが有する情報量も多種多様になっています。
国土交通省のインフラDXも合わせると、これまでは不動産価値の源泉となってきた「消費者と事業者の情報」の非対称性は徐々に解消される見込みです。今後は、それに成り代わる付加価値提供が必要となっていることを考慮すると、不動産DXの機運は今後ますます高まっていくのではないでしょうか。
不動産DXとは既存業務のIT化に留まらず、デジタル技術を活用して抜本的な業務効率化やコスト削減、付加価値の向上を図るもの。全体感は、野村総合研究所の公開しているイメージ図をみるとわかりやすいでしょう。
引用:NRI
不動産DXを推し進めれば、業務フローの最適化だけでなく「顧客情報やWeb閲覧履歴を分析し、見込み顧客の絞り込みの精度を上昇させる」といったことも可能。効率化により生まれたリソースを活用すれば、不動産ビジネスにおける新たな価値の創出につながります。
まとめ
国土交通省の推し進めるインフラDXは、不動産業界視点でみても恩恵がある、意義深い取り組みだといえます。今後は、日本全体でデジタルテクノロジーの有効活用がより活性化していくと予想されるでしょう。
「労働力不足」「アナログな商習慣」といった課題を抱える活用不動産業界でも、新たな不動産価値を創出するため、DXに向けた取り組みを加速させていく必要があります。
当社が提供している不動産売買に特化した不動産テック「レリーズ電子契約」「レリーズ本人確認」も、そういった時代の潮流を捉え、新たな不動産取引の価値創出を果たすためのシステムです。
当社は、不動産流通取引における新たな価値創出を目指して、野村不動産ソリューションズ株式会社との業務提携をはじめ、さまざまな取り組みを行っています。
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<参考>(※URL最終閲覧2023年2月28日)
※1 国土交通省「インフラ分野のDX」https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000073.html
※2 NRI「不動産・住宅・都市インフラ」https://www.nri.com/jp/service/solution/mcs/global/gpgi/real-estate
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