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コラム2023/02/27
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不動産会社のDXは「課題起点」の意識が重要|取り組みの“定石”が存在しないワケ

不動産会社のDXは「課題起点」の意識が重要|取り組みの“定石”が存在しないワケ

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

現代はさまざまな業種でDXに向けた取り組みが続けられていますが、業界ごとに推進度合いに差があるのが現状です。とりわけ、不動産業界は「アナログ文化が根付いている」といわれるように、DX文化の浸透がなかなか進んでいないのではないでしょうか。

もちろん、不動産という“現場”と切っても切り離せない商材を取り扱う業界であるがゆえの事情もあるでしょう。しかし、そのほかにもDX浸透の妨げとなる課題があるように思われますので、本稿を通して論考します。

自社でのDX推進を加速させたいとお考えの方は、ぜひお役立てください。


そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何か? 

近年は、あらゆる業界で「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」がトレンドワードになっていますが、そもそもDXとは何を指すのでしょうか。

経済産業省の『DX推進指標とそのガイダンス』では、以下のように定義されています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

上記の考え方を“不動産会社にとってのDX”に置き換えると、「デジタルを活用して、定常業務からビジネスモデルにいたるまで革新的な改革をおこなうこと」といえるでしょう。

昨今は、不動産業界でもDXに向けた取り組みを推進する機運が高まっています。

不動産テック4社・2メディアが調査したデータをみてみると、調査対象の内「DXを推進すべきだと思う」と答えた不動産会社は「98.4%」にも昇ったとのこと。


課題解決を目指す不動産DXの推進状況

引用:PR Times「2022年、不動産DX『推進すべきだと思う』が98.4% 「DXの効果を実感」は70.7%、最も導入を検討されているのは『電子契約システム』

さらに、「すでに取り組んでいる」企業は31.9%、「取り組む予定」の企業は38.5%と、半数以上の不動産会社が何らかの動きをみせていたことから、DXに対して前向きな企業が多いことが伺えるでしょう。


不動産会社がDXに取り組む意義

このように、推進に対して前向きな企業も多い不動産DXですが、具体的な取り組みの意義の代表例を挙げると「業務効率化」「エンドユーザーの満足度の向上」が挙げられます。

不動産業界は「労働生産性の不足」「従事者の高齢化」などが問題になっていますが、デジタルテクノロジーによるDXを果たせば、大幅な業務効率化が可能です。

さらに、今後はこれまでとは違った価値観・ニーズを持つ「Z世代」「アルファ世代」と呼ばれる世代に向けたアプローチを強化する必要があります。

これはまさに米経営学者のコトラー(Philip Kotler)が提唱する「マーケティング5.0」であり、コトラー氏はこれからの世代に向けたマーケティング手法の再定義手段として「ネクストテクノロジー(AIやIoT、VR、ブロックチェーンなど)」活用の必要性を唱えています。

それは不動産業界においても同様で、今後さらに不足していくマンパワーを補いつつ、多様化するエンドユーザーのニーズに応えていくためにはDXの取り組みが不可欠なのではないでしょうか。


不動産会社がDXを推進する際の「課題」とは? 

不動産DXへの取り組みにはさまざまなメリットがある一方で、推進の際に以下のような課題が発生し、つまづくケースは多々あります。

  • DXに必要なツールやシステムの選定
  • DXの推進体制・プロジェクト設計
  • 「アナログからデジタル」への対応


それぞれについて、個別に解説します。

DXに必要なツールやシステムの選定

現在、不動産会社のDXを推進する上で有用なツールは、非常に多くの種類が開発・提供されています。特に「不動産テック」に区分されるサービス・システム群は、不動産ビジネスに特化したソリューションも多く、各社の課題を解決するうえでは効果的です。

しかし、それらのデジタルツールは“多すぎる”あまり、自社のDXで本当に必要とされるツールの選定にかかる負担が大きいのもまた事実でしょう。

参考として、不動産テック協会が公開しているカオスマップを参照すると、各領域ごとに多様なサービスがあることがみて取れるでしょう。

DXによる課題解決を後押しする不動産テックのカオスマップ

引用:一般社団法人不動産テック協会

同じ領域に区分されるツールであっても、開発企業ごとの特徴・料金プランは異なります。

その中で適切なソリューションを選定し、DXを推進するためには、社内にDX関連の知見を持った人材が求められます。専門的な作業・判断は外部専門家を頼るとしても、DX推進のイニシアティブは社内で取ることが理想的でしょう。

DXの推進体制・プロジェクト設計

ツールを選定し、自社でDXを進める段階では「組織的な体制」も構築しなければなりません。DXのような全社的な取り組みは、いち部門でツールの運用体制を整えただけでは実現につながらないためです。

しかしながら、IPA 独立行政法人 情報処理推進機構の『DX白書2021』を参照し、日本企業とアメリカ企業のDXの浸透状況を比較すると、まだまだ日本は遅れをとっていることがわかります。

日本のDXにおける取組状況

引用:IPA DX白書2021

不動産業界に絞って実情を鑑みれば、多岐にわたる不動産関連の定常業務もあるなかで、ツールを選定し、関係各部門との利害関係を調整する。そのうえで、全社的な合意を形成していくのは一筋縄ではいかないという側面もあるでしょう。

そもそもDXとは「すぐに成果が出る」という訳ではないため、社内稟議を通しにくく、実用的な運用体制の構築にまでは至らないという点も課題のひとつといえます。

「アナログからデジタル」への対応

不動産企業の現状として、たびたび取り上げられるのが「業界全体でのデジタル化の遅れ」
です。まず制度的な問題として、2022年の宅建業法の改正までは契約関連書類のデジタル化が行えず、DX推進の機運が高まりづらいという事情がありました。

加えて、不動産業界内の慣習として「不動産取引では紙の契約書類」「連絡は電話やFAX」といった、旧来型の文化から脱却しきれていない点も、DXを進める上での課題でしょう。

特に、伝統的な不動産会社であればあるほど、旧来型の商慣習が根強い傾向があるため、社内変革が思うように進まないのです。


不動産会社のDX成功には「課題起点」のスコープ設定が必須 

以上のような課題を解決し、不動産会社がDXに向けた取り組みを成功させるには「大きな目標」を描くのではなく、まずは「小さな成功体験」を積み重ねることが重要といえるでしょう。

とはいえ、不動産会社の実務は「現場」と決して切り離せないのもまた事実。そのため、全てをデジタルに置き換えるのではなく「どのようにしてデジタルを取り込み、人にしかできない業務と共存させていくのか」という認識が求められているのではないでしょうか。

それを叶えるためには「自社でまずどの部分を変革すべきか」との“課題起点”のスコープ設定が不可欠でしょう。つまり、変革の手段であるデジタルテクノロジーを自社のどこに落とし込むのかについて定義化を行い、自社の事業や顧客特性から紐解いていくということです。

それを踏まえると「不動産DXに“定石”は存在しない」といえるのではないでしょうか。


まとめ

不動産業界は現在、高齢化や採用難、業務過多による「人材不足」の問題が浮き彫りになっています。さらに、スマホ完結が当たり前になってきたエンドユーザーにとって、紙や対面やりとりは苦痛で、顧客満足度の低下につながりかねないことから、自社の経営存続にもテック導入・DXは今後ますます大切になってきます。

しかし、最初から大きな変革を起こそうとしても、なかなか推進には繋がりません。不動産会社でDXを進める際に発生し得る課題を認識しつつ、まずは社内の納得感を得るためのスモールスタートを切るようにしましょう。

当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズプラットフォーム」を提供しています。

レリーズは不動産取引実務の効率化やコストカットが可能なサービスです。DX推進による顧客体験価値や満足度の向上を図りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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